モンジロウの野性

パグはもともと愛玩犬として改良され、やんごとなきご身分の方々に愛されていた。
中国からオランダ、そしてイギリスへと渡った当時、
「狩りにも番犬にも使えない役立たず！（な犬）」と新聞で酷評されたのだそうだ。

そういえば、映画「マリー･アントワネット」にもパグが出ていて、
チョコチョコ歩く姿や大人しく抱っこされている姿がとても可愛らしかった。


たまに不審な音を聞くと「バフバフ」と口の中で吼えたり、
音のする方向にテテテテッと走っていって首をかしげたりしてるのだけど、
そんな番犬ちっくな事をしてみても、実際、人の姿が見えたとたん、
だれにでも尻尾を振るのは間違いない。

だから、うちでは「可愛いためにモンジロウは生きているんだよ」と、
いつも言い聞かせているのだが、たまには古代の野性の血が騒ぐものなのかもしれない。

ペットソファは犬のおもちゃにしてはちょっとでかいし、
ズルズルと部屋の真ん中までひっぱってきたりされると非常に邪魔くさいのだけど、
他のおもちゃと違って「投げて投げて」とおねだりする事もなく、
独りでモクモクと遊んでいるので、「こりゃ楽ちんだ」と思って放っておいているのだった。



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